双子パパが教える、子供の時間感覚と記憶について
子供と話をしていると「昨日ね、アンパンマンのとこにいったね」など数か月前の事も昨日と話す事はありませんか?我が家の双子も3歳になりますが、年末に行った実家の事も昨日行ったように話しをします。また、「後でね」や「少し待ってね」と言っても理解されない事が多いですね。これは、子供の時間感覚や記憶の発達に関係しています。
今回は、この時間感覚や記憶のしくみや発達についてお伝えします。
時間感覚のしくみ
時間感覚と聞いて時計が読めると考える人もいるかと思いますが、時計が読めるのは数字の順番や多い少ないがわかるだけです。「今日」を軸に「昨日」「明日」といった時間感覚が身につくのは概ね小学3年生くらいだと言われています。小学3年生くらいでも前後1日くらいの記憶ですので、3歳の我が家の双子は時間感覚が無くて当然ですよね。この事からも、「早くして」や「後で」など時間感覚を身につけないといけないような声かけは、子供だけで無く、ママやパパにとってもストレスになるだけなので、気をつけて下さいね。
記憶のしくみ
記憶とは覚える事だけではないんです。以下の4つのプロセスがあります。
- 記銘:見たもの、聞いたことを一時的に記憶すること。
- 保持:必要に応じて長期間保持しようとすること。
- 想起:保持した記憶を必要に応じて取り出すこと。
- 再認:取り出した記憶が正しいのか、再確認すること。
記憶とは覚えることだけで無く、必要な時に適切にその記憶を取り出すことまでが記憶と言われます。
また、記憶には「短期記憶(数十秒〜数か月)」「長期記憶(数か月以上〜永続)」といってまずは短く記憶されたものを繰り返し取り出したりすることで長期の記憶に変わっています。その中でも、「エピソード記憶」といって過去の出来事を覚える記憶があります。子供が楽しそうに思い出を話すのはこの記憶で保存されています。ですが、子供は長期間、昔の記憶を保持することが困難です。
子供の記憶はいつから
子供の記憶は3〜4歳頃からと言われています。これ以前の記憶も保持されますが、長く保持されないと言われています。子供は「短期記憶」を中心に物事を記憶するようになります。では、3歳以前にたくさんの思い出を作っても意味がないかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。たくさんの思い出は大切です。この思い出で大切なのは感情です。記憶というのは感情を伴う方がよく記憶されると言われています。楽しい記憶、幸せな記憶が多いほど、大きくなってきた時の心の安定に働くと言われています。
高齢者の事例になりますが、重度の認知症で数十秒前のことも覚えていないような方でも、本人の嫌がるような言葉をかけられたや態度を取られた相手のことは、なんとなく不安や不快感にさらされ、その相手に拒否を示すようなことがあります。
それくらい、記憶と感情は密接に関係しています。そう言った記憶の積み重ねが子供が育つ時の心の安定に働きます。
まとめ
小学生以下の子供にとっては時間的な感覚は未発達です。その時期に、「早く」や「後で」を理由に厳しく怒ってしまうと、その怒られた感情だけが残ってしまい、成長の段階で漠然とした不安感が残ってしまうかもしれません。
皆様の育児の一つの視点になればと思います。