双子パパが教える、正しい子供の叱り方、正の強化を上手く使おう
皆さん、子供を注意する時はどうしますか?
頭ごなしに怒ってはいけない事、なるべく褒めるようにしないといけないというのは、よく聞きますよね。ですが、この褒めて伸ばすというのは、すぐに効果が出るものではなく、繰り返し行うことで効果が出るんです。子供の行動が変化するまでには、褒める事と叱る事では必要な回数が変わると言われています。こういった、叱ること、褒めることを活用した取り組みを「応用行動分析」と言います。心理学における「オペラント条件付け」を活用した人の行動を変える方法論になります。
今回は、その辺りの仕組みについてお伝えします。
しくみの説明
学習
心理学では、子供を褒めたり、叱ることで、その後の行動が変化することを学習と言います。
学習とは、何かを経験することによって、その後の行動が半永続的に変化することを意味します。(三京房 心理テストより引用)
例)トイレでおしっこができた→褒める→その後もトイレでできるようになった。
これが学習したという状況です。
「トイレでおしっこができた」というのは、経験にあたります。
「褒める」というのは、経験に与えた刺激と言います。
「トイレでできるようになった」というのは、行動が強化されたと言います。
この行動を変化させるための刺激の効果を「オペラント条件付け」と言います。
オペラント条件付け
オペラント条件付けとは、報酬や罰によって自発的にある行動を行うように学習することです。
ものすごく掻い摘むと、
- ある行動に対して褒めると、その行動は増えます。 (正の強化因子)
- ある行動に対して叱ると、その行動は減る、無くなります。(負の強化因子)
ということになります。
例えば、おもちゃを散らかしたままにしている子供に対して、
例1)おもちゃを片付けるように一緒に取り組み、片付けたことを褒め続けた。
→結果、自分で片付ける習慣ができた。
例2)おもちゃを片付けなければ、おもちゃを捨てると怒り、時には捨てて注意した。
→結果、自分で片付ける習慣ができた。
どっちも、片付けれるようになっているので、いいんじゃないかとと思うかもしれませんが、行動の変化の仕方が非常に問題です。
例1)に関しては、できないことが、できるようになったことを承認され続けることで、「おもちゃを片付ければ褒めてもらえる。家がきれいになる」とポジティブに発想して行動しています。
例2)に関しては、「できなければ叱られる、大切なものを失う、親の愛情を得られなくなる」とネガティブに発想して行動しています。
その時の行動の変化は同じでも、これから子供が様々な場面で課題に直面した時の思考が真逆になってしまう可能性があります。
例えば、ママが風邪をひいて、ご飯が作れない、自分が作ってあげればママが助かるかも。という場面があったとします。
例1)の子供は、自分のとってきた行動を褒められてきているので、初めてだけどママが助かるなら作ってあげよう!と勇気を持って踏み出しやすくなります。
例2)の子供は、自分のとってきた行動を否定されてきているので、作って失敗したら余計に困らせるのでは、返って怒られるのではないか。と行動を止めます。
といったように、今後の人生において行動の変化が明確に出てくる可能性があります。
もちろん、わかりやすく、極端に書いていますので、すべての場面で常にそのように考えるわけでは無いですが、自分にとってターニングポイントになる場面ではその差が大きく現れると言われています。
正の強化因子と負の強化因子
人は認められたいという承認欲求を持っています。以前の記事にも書いているので、参考にしてください。
そのために、叱られたく無い、嫌われたく無いと強く思います。そうでない環境が整って初めて認められたい、好かれたいと行動するようになります。皆さんもそうだと思います。私もそうです。
ということは、叱られるといった負の強化因子の方が行動変化が速く起こってしまうのです。叱られたことを続けていると、親に嫌われてしまうといった思考になってしまいます。反面、褒めることをすごく難しいんです。同じ行動をしても、ある時は褒めて、ある時は褒め無いという差があると、その行動は承認されているのか分からず、繰り返し行動することに変化しない場合があります。
その理由で罰(負の強化因子)の方が褒める(正の強化因子)より、速く学習されます。時間が無い時、心に余裕が無い時に叱る(負の強化因子)事が増えるのは、ママやパパ自身のストレスから心を守るための防衛機制でもあります。褒めて伸ばすには時間と心の余裕が必要です。リフレッシュしながら時間を確保するように考える方が、褒める事を意識するより、結果的に良い効果が生まれるかもしれません。
まとめ
今回は難しい話になりましたが、何かものを取り上げる、罰を提示して行動を変えるということはダメだというふうに感じたかもしれません。もちろん少ない方がいいと思いますが、これを書いている私自身もやってしまいます。
逆説的になりますが、負の強化され、ネガティブに考えれる方が慎重に行動できますし、ネガティブな時ほど思考はどんどん広がり、今考える必要の無い場面まで考えてしまいます。これは、視野が広がり、物事の発想力が高まっている状態です。メンンタリストのDaiGoさんも言っていますが、ネガティブな気持ちは具体化につながると述べています。リスクを考えて課題を明確にすることができる強みに変わると言われています。そういう意味では、正の強化ばかりでは、慎重に物事が考えられず、やる気はあっても計画性が無いなんてことになるかもしれません。
何事もバランス良くが大事です。何か子供の行動を変化させたい時に、少し今回のお話を思い浮かべていただければと思います。これでも、だいぶ簡潔に書いたつもりなので、詳しい用語など本当はもっとたくさんあります。ネットでも結構検索されるので、興味のある方は一度読んでもらえればと思います。